超精密加工:研磨

精密研磨加工について

研磨は、切削加工法において広く応用されている代表的な手法である。これは、高速回転する砥石により工作物の表面を除去する加工法であり、機械製造業界において汎用的に採用されている。

研磨加工の原理

砥石は、形状が不規則で鋭い刃先を持つ無数の砥粒によって構成されています。各砥粒は微小な切削工具として機能し、工作物表面に食い込むことで切削作用を発揮します。研磨プロセスは、以下の三つの段階を経て進行します。 滑り摩擦段階: 砥粒が工作物に接触するものの、深くは食い込まず、主に摩擦が生じる段階です。 みぞ切り段階: 砥粒が工作物表面に食い込み、材料を側方に排退させて「みぞ」を形成し、塑性流動を引き起こす段階です。 切削段階: 砥粒が十分に深く食い込み、連続した「切りくず」を生成し、真の材料除去が行われる段階です。

研磨加工の特徴

高い加工効率:研磨加工は切削速度が非常に速く、複数の面を同時に加工できるため、加工効率を大幅に向上させることができます。

高い精度:表面粗さRa0.003μmの達成が可能で、工作物の形状・寸法・位置精度を精密に制御できます。この特長から、精密加工分野で広く活用されています。

幅広い適応性: 焼入れ鋼・超硬合金・タングステン合金など、さまざまな硬度の材料に対応できます。また、ブレードやタービンディスク、医療機器部品など、複雑な形状の部品加工にも適しています。

安定した加工品質:加工は主に砥石と工作物の間の摩擦作用によって材料除去が行われるため、大きな切削力が発生せず、振動や騒音も抑制されます。これにより、常に安定した加工品質が得られ、プロセス制御性にも優れています。

高度な操作技術が要求される:研磨作業には、一定の技能と経験が不可欠です。高速切削における手と目の協調動作には、迅速かつ正確な対応が求められます。熟練技術者は、工作物の材質と加工要求に応じて最適な砥石を選定し、切削パラメータを調整します。

研磨加工の応用

工程プロセスの最終段階、すなわち仕上げ工程において、組立面や嵌合面に対する研磨処理は不可欠な工程です。その主な理由は以下の通りです:

高精度な寸法要件の確保

組立面や嵌合面は、部品間の相互位置関係(軸と穴、ガイドとスライダーなど)を決定づけることが多いです。一般的な旋削やフライス加工では±1–2 μmの公差維持が困難な場合でも、研磨加工ではこのレベルの精度を安定的に実現できます。

2. 表面品質の向上と摩擦・摩耗の低減

研磨処理により表面粗さをRa0.2μm以下、場合によっては鏡面に近い状態まで改善可能です。これにより部品間の摩擦抵抗が軽減され、摩耗量が抑制されるため、製品寿命の向上につながります。特に滑り嵌合など、低摩擦が要求される部位に有効です。

3. 組立の安定性と互換性の保証

工件の精度が不十分だと、組立時に嵌合不良や過大な隙間、早期故障などの問題を引き起こす可能性があります。そのため、精密嵌合部品では寸法と表面形状を厳密に制御し、組立時に適切な圧入や隙間を実現する必要があります。

4. 残留応力と変形の低減

前工程の切削加工により、刃痕と応力集中が生じることがあります。研磨は加工硬化層を除去し、残留応力を低減します。これにより、嵌合面の耐疲労性と安定性を向上させることができます。

5. 高端応用の要求を満たす

金型、ベアリング、油圧部品、工作機械主軸などの分野では、組立面や嵌合面に寸法精度だけでなく、表面の滑らかさと長期的な安定性が要求され、研磨がほぼ唯一の実行可能な工艺となっています。

旋削・フライス加工は形状を形成し、研磨が精度と性能を保証します。 一般的に、旋削/フライス加工による表面のパターンは、明らかな工具痕と周期的なうねりを示します。この工具痕の形状は、通常、螺旋状(旋削)または弧状/直線交差(フライス加工)です。例えば、旋削では一般的な同心円状の工具痕、フライス加工では一般的な「弧状の扇状」または「鱗状」の痕跡が見られます。パターンの溝は深く、高低差が明らかで、表面粗さは一般的にRa1.6~3.2μmとなります。パターンの均一性は、刃先円弧半径、工具振動、送り量の変化の影響を受けます。

このようなパターンの特徴は、工件の性能に大きな影響を及ぼします。

接触面積と応力集中:みぞ状のパターンが存在するため、実際の接触面積は理論的な設計値よりも小さくなり、組立時に面接触ではなく局部接触が生じやすく、位置決め精度が不足し、部品の組立精度要求を満たせなくなる可能性があります。局部接触は応力がパターンの山部分に集中するため、長時間使用後、これらの領域は塑性変形や微細剥離を起こしやすく、それにより嵌合隙間が次第に大きくなる可能性があります。繰返し荷重を受ける部品では、このような欠陥が疲労き裂を誘発する可能性が高く、寿命を著しく短縮します。

異物滞留と摩耗促進:方向性の強いみぞは「切り粉だめ」の役割を果たし、研磨工程で生じた磨り屑、油汚れ、粉塵などの異物を滞留させやすくなります。これらの異物が摩擦対の間に繰り返し挟まれると、「第三体磨粒」を形成することと同等となり、摩耗速度を著しく加速します。みぞ内に堆積した異物は、摩擦対の固着(ストール)や動作抵抗の増大を引き起こし、部品の異常摩耗や早期故障、寿命短縮につながる可能性があります。同時に、残留物は工件表面を傷つけ、表面品質を低下させます。高精度または高負荷の条件下では、この種の問題が設備の振動、発熱を引き起こし、故障停止に至る可能性が高まります。

応力集中と疲労寿命の低下:深いみぞは典型的な応力集中源であり、その底部の鋭い遷移部はき裂の発生点となりやすくなります。一旦き裂が発生すると、その進展速度は著しく速まり、部品の疲労寿命を短縮し、実際の耐荷重能力が設計値を下回り、早期故障のリスクがあります。長期間の交番荷重や衝撃荷重が作用する場合、部品は早期破損を起こす可能性さえあり、それにより設備の停止や損傷を引き起こします。

製品イメージへの影響について、精密部品やハイエンド市場を重視する顧客にとって、目立つ工具痕は「加工技術が未熟である」との印象を与え、製品の品質格付けやブランドイメージの低下につながる可能性があります。豊合精密は、国産のSGM-450、PMM 4080AHNCなどの先進設備を備え、半導体、医療、自動車、金型、自動化設備など多岐にわたる産業向けに高精度な研磨加工を提供しています。当社が加工可能な素材は、磁性材料(炭素鋼・金型鋼など)から非磁性材料(銅・アルミニウム・ステンレス鋼・PEEKプラスチックなど)まで幅広く対応できます。長年にわたり蓄積したノウハウと技術力を活かし、これまで1,000社以上のお客様に信頼いただいてきました。お客様の満足を何より大切にし、高度な加工技術と充実した設備体制で、輸出に関わるご注文もしっかりとサポートいたします。

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